toggle
2022-12-19

mRNAがんワクチンの限界


新型コロナウイルスに対しては賛否両論のあるmRNAワクチンですが、がんに対しても課題が残されています。

免疫、遺伝子の両方からのアプローチ

mRNAを利用し、患者ひとりひとりのがん細胞に特異的な抗原を体内で合成させるワクチンが、免疫チェックポイント阻害剤との併用で悪性黒色腫の患者の延命や再発防止に奏効したとの報道がありました。これ自体は評価すべき成果です。がんは免疫が十分に機能しなかった結果なので、抗原を認識させて、免疫を刺激することは、理にかなっています。また、がんはひとりひとりが個別の病気であり、それぞれに対して異なるアプローチが可能かどうかが課題でしたが、このワクチンでは患者のがん細胞の遺伝子変異を解析し、得意的な変異を抽出することで、それに応じた抗原を作り出せるよう、mRNAを開発しています。問題は、がん患者の免疫は強く抑制された状態にあり、抗原を提示するだけで、それを目覚めさせることが出来るのかということです。また、がん細胞は常に変異しており、抗がん剤や分子標的薬がやがては効果がなくなっていくように、特異的な抗原がやがては特異的でなくなっていく可能性はあります。

Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0
関連記事