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2021-09-24

固形がんを対象としたCAR-Tの治験が開始


CAR-Tは、固形がんに対してはまだ実用化されていません。

固形がんは血液のがんより複雑

CAR-Tとは免疫細胞の一種であるT細胞の遺伝子を改変し、がん細胞への攻撃性を高めたものです。患者のT細胞からCAR-Tを作って培養し、それを再び点滴で戻すという治療が、血液のがんに対して既に保険適用となっています。一方、固形がんに対しては、がんの中までCAR-Tが届きにくいことや、組織が不均一標的となる分子を見つけづらいことなどから、開発が進んでいませんでした。

がんを叩くと同時に、免疫を刺激

そんな中、山口大学と国立がん研究センターによるベンチャー「ノイルイミューン・バイオテックは」固形がんを対象とした次世代のCAR-Tを開発し、治験を開始することになりました。このCAR-Tは悪性胸膜中皮腫や小細胞肺がん、膵臓がんなどの細胞表面に発現するGM2を標的として攻撃するだけでなく、サイトカイン「IL7」、ケモカイン「CCL17」などの免疫を刺激する物質を作り出し、抗腫瘍効果を増大させます。従来の標準治療が手術や放射線、抗がん剤といった外的な手段でがんを対象として叩いていたのに対して、これからのがん治療は患者自身の免疫で押さえ込む方向へと進んでいます。

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