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2019-07-08

部位ではなく遺伝子の変異に応じて使えるがん治療薬

がんは遺伝子の病気です。この事実に向き合い、治療は制度を含めて変えていくことが求められています。

がん治療は部位別に保険適用が認められてきた
従来、がん治療薬は部位や進行の度合い、治療の経緯などで保険適用が認められてきました。これは、我が国の医療が外科主導で発展してきたことが背景にあるでしょう。しかし、標準治療ではなかなかがんで亡くなる方が減らず、がんが遺伝子の変異によって異常な細胞が生まれることで発症する病気だということが明らかになってくる中で、遺伝子の変異、即ちがんの性質からアプローチしようという動きが本格化しています。それが、国が推進するがんゲノム医療です。

特定の遺伝子の変異があれば保険適用に
昨年の12月には免疫チェックポイント阻害剤「キイトルーダ」がマイクロサテライト不安定性(傷ついた遺伝子が修復出来るかどうかの状態)に応じてがんの部位を問わず使用出来るようになりました。そして、部位を問わない保険適用の2例目として、ロズリートレクが6月18日に製造販売の承認を取得しました。ロズリートレクはがんに特異的な蛋白質を目印に作用する分子標的薬ですが、NTRK融合遺伝子といって千切れたふたつの遺伝子がくっついた異常な遺伝子が確認されれば使うことが出来ます。

現状のがんゲノム医療の問題点
がん遺伝子パネル検査が保険適用になり、従来の標準治療だけでは効果がない患者に対して、新たな選択肢が見つかる可能性が出てきました。しかし、せっかく遺伝子の変異という側面から選択肢が出てきても、それが保険適用ではなく費用の面で諦めざるをえないという恨めしいケースは、今後、多発するのではないでしょうか。がんを遺伝子の病気だと認めたのであれば、それに応じて保険適用も認めるのが筋というものです。

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