toggle
2016-12-21

NECががん治療薬の開発に参入

大手電機メーカーのNECがAIを活用して、がん治療薬を開発する事業に参入すると発表しました。最先端の技術はどのように活かされていくのでしょうか。

adobestock_116508423s

がんワクチン研究に必要な時間とコストを、AIで圧縮
NECはAIを活用することで、がん治療薬を開発する事業に参入すると発表しました。がんは免疫が正常に機能しないことで発症・進行する病気であり、近年の新薬開発は免疫の回復や活性化が主流になっています。その中で以前から研究が進められてきたのががんワクチンです。がんに特有のペプチド(アミノ酸)を免疫細胞に覚えさせることで、免疫細胞ががん細胞を攻撃するように促すのが狙いです。ペプチドにはアミノ酸の配列によって何千万もの種類があります。個々に効果を検証するには、膨大な時間とコストがかかるため、それをAIによって圧縮することが期待されます。

がんワクチン、樹状細胞療法の現時点での限界
がんという病気の治療の難しさは、がん細胞は体内で生まれたものであり、それだけを狙い撃ちで攻撃することの難しさといえます。そこで標的となるペプチドの研究が進められていますが、全てのがんに存在し、正常細胞には存在しないというものは見つかっていません。また、がん細胞はどんどん変異し、その性質を変えていくという厄介さがあります。現状のがんワクチンの限界はそこにあります。また、がんワクチンに近い考え方で、体外で培養した樹状細胞に、がんの標的を覚え込ませて、体内に戻すという治療もありますが、こちらにも同じことがいえるでしょう。さらにいうと、樹状細胞は細菌やウイルスなどの侵入物には敏感に反応しますが、体内で生まれたがん細胞にはあまり反応しません。

Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0
関連記事