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2016-12-20

中小企業の6割以上が、がん治療中の雇用は困難

がん患者にとって治療中、治療後の雇用は切実な問題です。通常の病気よりも治療は長くなりますから、当然医療費はかさみます。改正がん対策基本法では雇用者に雇用継続の配慮を求めていますが、国内企業の9割以上を占める中小企業にとっては、そうそう容易なことではありません。

Lachender afrikanischer Kaufmann mit anderen internationalen Azubis

 

改正がん対策基本法では患者の雇用継続への配慮が求められる
今月、成立した改正がん対策基本法では、雇用者にがん患者への雇用継続に対して配慮するように求めています。具体的にいえば、治療によって通常通りの就労が出来なくなった従業員であっても、継続して就労出来るようにしてほしいということです。若い世代、現役で働いている世代のがんは増えています。自分の治療や生活だけでなく家族の生活のためにも安定的な雇用が求められますが、大企業ならともかく、長らく厳しい環境にある中小企業にとっては厳しいところです。一般社団法人CSRプロジェクトが全国の従業員300人以下の中小企業と個人事業主200人を対象に行った調査では、従業員の仕事とがん治療の両立について19%が「無理」、42%が「難しい」と回答しています。

改正がん対策基本法は具体策に欠ける
従業員を雇用する上では、企業には様々な負担があります。有給休暇を消化し、無給で休職していても、社会保険料の半分は負担しなければなりません。また、少人数で業務を行っていれば、就労が安定しないことは、業務そのものが不安定になることを意味します。国内企業の9割以上を占める中小企業には、それに耐えられる余力がないところが多いでしょう。実際、国が求めているのは、あくまでも「配慮」であり、それに伴う具体的な支援もありません。がん治療で休職している従業員の社会保険料を減免したり、高齢者や障がい者と同様に雇用した場合の助成金を支給するなど、目に見える施策を打ち出さなければ、現実は変わらないでしょう。中小企業とて病気で働けないからといって、従業員を切り捨てたいわけではありません。大企業ほど容易に採用が出来るわけではありませんから、元気になれば即戦力の従業員はまさに会社の財産なのです。雇用が困難であるという判断が、背に腹は代えられない結果であることを、もう少し改正に反映出来なかったものでしょうか。

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