2016-10-24
オプジーボが悪性黒色腫に効く仕組みを解明
高い薬価に加えて、事前に効果を予測出来ないことが問題視されるオプジーボですが、徐々に研究が進み、事前に予測出来る可能性が高まっています。
事前に効果を予測出来ず、薬価がかさむ一因に
低下している免疫の機能を回復させ、がんを治療する免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」。昨年、肺がんに健康保険適用になって以来、消費が増え、その薬価(年間3000万円以上)も問題視されています。薬価がかさむ背景のひとつとして、効果があるのは肺がんで3割以下で、使用する前に効果を予測する手段がないことが挙げられます。最初に悪性黒色腫(皮膚がんの一種)、次に肺がん、腎がんと健康保険が適用になったオプジーボですが、効くかどうかを判断する手段の発見が急がれています。
オプジーボが効いた患者は9型ヘルパーT細胞が増加
今回、京都大学の研究グループが国際学術誌『オンコイムノロジー』に発表した論文によると、オプジーボを投与した悪性黒色腫の患者46人を調べたところ、効果のあった患者の体内では免疫細胞の一種「9型ヘルパーT細胞」が増えていたそうです。また、この9型ヘルパーT細胞が作るインターロイキン9という物質には、悪性黒色腫の進行を抑える働きがあることもわかりました。オプジーボは効果が出るまでの時間にばらつきがあり、患者によっては数か月後ということもあるようです。試験的に投与して、効果を予測出来れば、無駄な医療費を抑制するだけでなく、患者にとって貴重な治療機会を失うことを防げます。悪性黒色腫は症例としては少ないがんですが、患者の多い肺がんなどにも同様の解明が広がることが期待されています。
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