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2023-04-03

HER2低発現の乳がんにエンハーツが適応追加


抗HER2抗体のトラスツズマブは、HER2陽性の乳がんにしか効果がありませんが、低分子の抗がん剤と結合させた状態であるエンハーツになると、HER2低発現であっても効果が確認されています。

乳がんの新たな分類が生まれる可能性

抗体薬物複合体「エンハーツ」は、進行の速いがんに発現するHER2の抗体(トラスツズマブ)を利用して、低分子の抗がん剤をがん細胞に送り届けます。トラスツズマブは分子標的薬の定番のひとつ「ハーセプチン」として長く使われていますが、HER2陰性や低発現のがんには効果がありません。しかし、トラスツズマブと低分子の抗がん剤を結合させた状態のエンハーツでは、HER2低発現であっても乳がんの無憎悪生存、全生存を6か月延長させることが確認され、今回、適応が追加されました。HER2陽性は乳がん全体の15〜20%。残りは全てHER2陰性に分類されてきましたが、今後は50〜60%がHER2低発現という新たな分類になる可能性があります。乳がんはHER2が陽性か陰性か、女性ホルモンの影響で進行するかどうか、それぞれの組み合わせで治療が確立されていますが、多くの乳がん患者に新たな選択肢が生まれることになります。

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