toggle
2016-08-23

保険適用の範囲が次々に広がるオプジーボ

Forschung, Medizin, Pharmazie und Gesundheitsversorgung
オプジーボの保険適用が拡大されています。薬価の高さを含めひとつのがん治療薬がこれだけ話題になるのは、期待の証といえますが……。
オプジーボが血液がんの一種にも保険適用
昨年、肺がんに保険適用となり、一気に使用が増えた免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」。9月には腎がんにも保険適用となる見込みですが、既に血液がんの一種や頭頚部がんについても追加適用を申請済みであり、血液がんの一種については年内にも保険適用を受けての製品販売に入れるとのことです。その他、胃がんや食道がんについても製品化前の臨床試験が最終段階に入っているとか。従来の抗がん剤とは全く異なり、患者の免疫の力を機能させて、がんを攻撃するという性格ゆえ、従来の抗がん剤のような重い副作用がないということで、大きな話題を呼んだオプジーボですが、こうして次々に保険適用の範囲が広がっています。

オプジーボとて夢の薬ではない
とはいえ、一部のメディアが持ち上げるような夢の薬ではないことはご理解いただきたいと思います。まず奏効率自体、約3割といわれています。そして、従来の抗がん剤のような正常細胞を巻き添えにすることによる副作用はないにしても、免疫という精密なバランスの上に成り立っているシステムに手を加えるため、自己免疫疾患という別の副作用が起きるリスクはあります。

保険適用の範囲は細かく決まっている
もうひとつはオプジーボ自体の問題ではありませんが、報道のされ方にも問題があるのではないでしょうか。年内にも血液がんの一部に保険適用が認められ、製品として販売されると伝えられた際には、「血液がん向けに」という表現が使われていました。がん治療薬といっても保険が適用される範囲は、部位、症状、経過などによって厳格に決められています。今回、追加適用となるのもあくまでも血液のがんの一種に過ぎません。

情報を見定める力が求められる
がん治療において有効な選択肢が増えるのは喜ばしいことです。ひとつの手段が決定打とならなくても、幾つかを組み合わせることで、力を発揮することがあります。その際に求められるのは、情報をしっかりと見定める力です。悲観的になる必要はありませんが、過度に期待したり、恣意的な報道に振り回されたりせず、自分にとって有効な治療は何なのか、情報を集めることが、がんとの闘いの第一歩になります。

 

Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0
関連記事