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2016-09-20

オプジーボの効果が遺伝子プロファイルで予測可能に

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画期的ながん治療薬「オプジーボ」ですが事前に効果を予測出来ないという短所があります。この難点の解決に道をつけるような研究発表がありました。
オプジーボが効くのは腎細胞がんで約3割
がん細胞を殺すという従来の殺細胞剤とは異なり、がん細胞が免疫細胞の働きを邪魔する仕組みを遮断することで、免疫細胞本来の働きを回復する新たながん治療薬として注目されているオプジーボですが、薬価の高さのほかにも事前に効果が予測出来ないという難点があります。これによって余計なコストがかかると同時に、患者にとって何よりも大切な治療機会が失われてしまうという問題があります。がん細胞のPDL-1という物質は免疫細胞のPD-1という受容体と結合し、がん細胞への攻撃をストップさせます。オプジーボは先回りしてPD-1に結合し、PD-L1と結合させないようにすることで、攻撃の邪魔をさせないようにします。従って、オプジーボはPD-L1が陽性の患者に使われますが、効果があるのは腎細胞がんで3割程度といわれていました。

オプジーボが効かなかった患者の特徴
先頃、米国がん学会の『Cancer Immunology Research』で発表された臨床試験の結果によると、オプジーボが効かなかったPD-L1陽性の腎細胞がんの患者は、オプジーボが効いたPD-L1患者よりも、代謝に関わる遺伝子の発現の度合いが高いことが明らかになっています。米国ジョンホプキンス大学の研究グループが、PD-L1陽性の転移性腎細胞がんでオプジーボによる治療を受けた患者13名について遺伝子プロファイルの分析を行ったところ、効果のなかった9人は効果のあった4人よりも代謝に関わる110種類の遺伝子の発現の度合いが高かったのです。また、これらの遺伝子は培養された腎がんの細胞においても確認されています。 

治療の精度を高めることが必要
がんは健康と長寿の最大の脅威でありつづけています。これから先、有効な治療が次々に開発されていくでしょう。とはいえ、それを使う対象は生身の人間です。効果があるまで何度も繰り返すには、体力や時間、費用の面で限界があります。適切な治療を選ぶことで、いかに治療の精度を高めていく必要があるのです。これはひとつの薬に限った話ではありません。様々な治療の中から自分に合っていて、条件面でクリアできる治療は何なのか、出来るだけ迅速に判断して実行することが、進行がん克服には不可欠です。

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