2016-10-20
海外とは数倍もの価格差があるオプジーボ
いろいろと話題になっているオプジーボですが、その薬価は米国の倍以上、英国の5倍以上と高額であることをご存知でしょうか。そんな高額になったことには理由があります。
行政はオプジーボの値下げに着手
免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」は昨年末、肺がんにも健康保険適用となり、消費量が一気に増えました。同時に問題となっているのが、年間で3000万円を超える薬価の高さです。保険診療の範囲で使うぶんには、患者の負担には上限があります。とはいえ、最終的には健康保険から支払われることになります。オプジーボの消費がどんどん増えていけば、看過出来ない問題になるでしょうし、今後、新薬の価格がさらに上がっていくきかっけになるのではないかという意見もあります。これを受けて、行政はオプジーボの薬価引き下げに動いています。
少ない患者数で採算が合うよう高い薬価に
実はオプジーボ100mgの価格は各国で大きな開きがあります。米国で約30万円、英国で約14万円。そして、我が国では約73万円とずば抜けて高いのです。このような価格差が生まれた背景には、オプジーボがはじめて承認されたのが日本であったこと、そして患者のそれほど多くない悪性黒色腫の薬として承認されたことがあります。患者が少なければ、巨額の開発費を回収するためには、高い価格を設定する必要があります。実際、当初の価格設定は年間500人に満たない患者数でも、採算がとれるように設定されたそうです。それが昨年末に肺がんにも健康保険適用になると、患者数は約1万5000人にまで急増。儲け過ぎとの批判があることは事実です。薬価の見直しは2年ごと。次回のタイミングは2018年と先の話であり、行政は批判を受けて、緊急の引き下げに着手しています。
オプジーボの消費が増えるのは予想出来たこと
薬価が高くなったのは、様々な経緯があったからでしょう。想定される患者が少なければ高くなるという理屈は理解出来ます。しかし、免疫チェックポイント阻害剤はがん細胞の免疫抑制をなくす作用があり、様々な部位のがんに効果が期待出来る薬です。実際に肺がんに続いて腎がんにも健康保険適用となっています。将来、消費がどんどん増えていくことは想定の範囲内であったはずです。健康保険を使えるようにする上では、厳格な審査が必要であることはわかります。しかし、様々な制度や仕組みの合理化が叫ばれる中、もう少し柔軟な対応が出来ないものでしょうか。制度を残したままでの緊急の薬価の引き下げは、何とも場当たり的な対応としか思えません。
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