オブジーボが腎がんでも保険適用に
皮膚がんや肺がんに保険適用されていた話題のがん治療薬「オブジーボ」が、腎がんにも使えるようになる見込みです。仕組みから考えれば、様々ながんに有効な薬といえます。
9月にも腎がんに保険適用の予定
免疫チェックポイント阻害剤「オブジーボ」が腎臓のがんにも保険適用が拡大されることになりました。使用が認められるのは手術が出来ないか、もしくは転移性の腎細胞がんです。8月5日に厚生労働省の部会が了承し、来月にも正式に保険適用となる予定です。高額な薬価が議論を呼んでいますが、ますます使用は増えそうです。
他のがんへの保険適用も申請済み
オブジーボは免疫細胞の働きを向上させ、免疫の力でがんを攻撃する薬です。従来の抗がん剤(殺細胞剤)ほどの副作用がないことから、新しいがん治療薬として注目を集めていました。当初は皮膚がんのみに保険適用されていましたが、患者の多い肺がんにも拡大となってから、急激に使用が増えています。仕組みとしては全身の免疫に働きかけるわけですから、他の部位のがんにも奏効すると期待されています。開発メーカーの小野薬品工業は今後、血液のがんなどへの適用についても申請を行っています。
よく効く薬は、副作用も大きい
とはいえ、どんながんでもたちどころに治して、全く副作用がないというわけではありません。米国の臨床試験ではオブジーボを使った患者の3割程度に、自己免疫疾患が出たという報告があります。効く薬はそれだけ体に影響を与えます。例えば抗がん剤の副作用はよく知られていますが、がんを叩くという観点から考えれば、これほど強力な薬はありません。私たちの体、生命は絶妙のバランスで維持されています。そこに何か人為的に手を加えれば、そのバランスは崩れてしまいます。化学療法はその匙加減といっても過言ではありません。