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2023-10-11

インクジェットプリンタの技術でがん細胞を効率よく叩く

優秀な工業技術をがん治療に活かす試みが成功しています。


がん細胞を細胞死させるペプチドを効率よく送り込む大阪公立大学、京都大学、武庫川女子大学の研究グループが、インクジェットプリンタの技術を応用して、がん細胞を効率よく叩く手法を開発しました。従来の技術では細胞に針を通すか、細胞に高電圧をかけて、細胞膜を不安定にすることで、薬剤を送り込んでいました。研究では1秒間に1000回もの吐出が出来て、1滴をpl単位で制御できるインクジェットプリンタと同様の仕組みを作り、ウイルス由来の膜透過性ペプチドを子宮頸がん由来細胞に吐出し、細胞内へ入っていく様子を確認しました。結果、吐出が速くなる程、細胞膜を通過し、細胞内へ効率よく入っていくのを確認しました。細胞膜を損傷することもなく、細胞内に到達していました。 さらに、がん細胞を細胞死させるペプチドを、細胞内への移行効率を高めるため、膜透過性ペプチドと結合させて、この仕組みで細胞に吐出したところ、高い効率で内部に到達し、細胞死を誘導することに成功したのです。分子量が約15万にもなる巨大分子である抗体でも、この仕組みであれば細胞内部に高い効率で到達することも明らかにんっています。この手法によって細胞膜内送り込むことが困難だった薬剤での治療が可能になるほか、顕微鏡手術中に狙った細胞群に薬剤を送り込むことが出来そうです。

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