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2023-06-23

トリプルネガティブ乳がんのHER2発現は、時期によって変動する


抗体薬物複合体は、トリプルネガティブ乳がんの患者に新たな選択肢をもたらすかもしれません。

トリプルネガティブかつHER2低発現の可能性

乳がんには幾つかの性質があります。進行の速いがんに多いHER2という蛋白質を発現しているか、女性ホルモンの影響で進行するかどうか、或いはこの両方を兼ねているかです。これらの性質によって標準治療は確立されてきましたが、いずれも陰性であるトリプルネガティブの場合、従来は抗がん剤しか化学療法の選択肢はありませんでした。しかし、近年、抗体薬物複合体という新薬が登場し、乳がんの治療の選択肢を増やそうとしています。これはHER2を抗原(目印)として作用する抗体医薬品に、低分子の抗がん剤を結合させたもので、抗体医薬品を利用することで、がん細胞を低分子抗がん剤の強力な攻撃力で狙い撃ちにします。仕組みから考えれば、HER2が陽性でなければ効果はなさそうですが、現実にはHER2が従来では陽性でない低発現であっても奏効したことから、各国で承認されています。そして、米国のマサチューセッツ総合病院が興味深い報告をしていますが、トリプルネガティブであってもHER2の発現は時期によって変動し、検査の時期によっては低発現となり、抗体薬物複合体の適応となる可能性があるということです。

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