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2021-09-09

喫煙者は、肺がんになっても定番の分子標的薬が使えない


イレッサは国内ではじめて実用化された肺がんの分子標的薬であり、多くの患者に使われてきまた。

喫煙者の肺がんは、EGFR遺伝子の変異がない

がんは遺伝子の変異によって起こる病気であり、新薬はほぼその変異に着目して開発されています。遺伝子の変異によって特異的に発現する蛋白質があるので、そこに作用し、がん細胞の増殖を抑制するのです。特に肺がんは、遺伝子の変異に応じていろいろな分子標的薬が開発されています。そのひとつが細胞の分裂に関係するEGFRという遺伝子に変異の見られるがん細胞に作用するイレッサです。承認直後には誤った使用で起こった副作用で、亡くなった患者が続出し、大きな問題になりましたが、適切な使い方が発見されて以降は、多くの患者に投与されてきました。ところが、長年喫煙を続けている肺がんの患者には、このEGFR遺伝子の変異がないため、イレッサが選択肢になり得ないのです。それどころか、重篤な肺炎などの副作用リスクがあります。肺がんの発症要因として喫煙の習慣があることは、既に指摘されていますが、治療の選択肢も狭まるということです。

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