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2020-06-11

第一三共は、がん領域を事業の柱に


抗体薬物複合体「エンハーツ」の登場は第一三共という製薬会社の変革の表われといえます。

既存の製品の長所をそのままに、短所を補完
抗体薬物複合体「エンハーツ」が保険適用になりました。製造・販売を行う第一三共は、アストラゼネカとの提携で世界に向けての展開を予定しており、いずれば1兆円近い売上になるのではないかと予測されています。抗体薬物複合体とは抗体(分子標的薬)と低分子の薬物を結合させたものです。分子標的薬はがん細胞が特異的に発現する分子を目印に作用し、分裂・増殖を抑制します。がん細胞に効率よく作用するため、正常細胞への影響が少なく、副作用が軽微です。一方、既存の抗がん剤は低分子の薬物ですが、がん細胞を直接叩けるものの、分裂中であれば正常細胞も傷害して、つらいう副作用を招きます。抗体薬物複合体はこのふたつを結合させることで、がん細胞に効率よく抗がん剤の攻撃力を発揮させるのです。双方の長所はそのままに、短所を補完するといっていいでしょう。

競合を圧倒するエンハーツの技術
抗体薬物複合体は各社が開発していますが、エンハーツは他社の製品よりも多くの低分子薬物を確実に結合出来ます。今後の事業の柱になるくらい大きな売上を期待されているのはその技術ゆえですが、そもそも第一三共にとってがんはあまり得意な領域ではありませんでした。今後のがん患者の増加を睨み、社運を賭けて、がんの新薬開発に取り組んできた成果といえるでしょう。

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