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2017-08-09

進行がんでも諦める必要はない 最前線で闘う医師が語る「がん医療の現実と打開策」 1

東京都中央区の新日本橋石井クリニックの石井光院長は、消化器内視鏡の専門医として年間3,300件以上の検査を行う傍ら、ANK療法(免疫細胞療法)で早期がんから進行がんまで多くの患者を救っています。医療現場で日々患者と向き合う中、標準治療の問題点やその補完についての啓発を行う石井院長にお話をうかがいました。


「限界が明らかな標準治療しか選択肢がないから、がんで亡くなる方が減らない」

──現在のがん医療の一番の問題とは何でしょうか?
私は消化器内視鏡を専門にしていますが、開業してからの20年で5万件以上を手がけてきました。その中で400以上のがんを発見してきましたが、幸いに早期で発見し、適切な治療で回復された方もいれば、残念ながらかなり進行した状態で、標準治療だけでは十分な治療が出来ないという方も少なくありません。胃がんや大腸がんは日本人に多いがんですが、遠隔転移したステージ4になると、5年生存率は概ね10%以下です。昨年、新たにがんに罹患された方は110万人以上で、年々増え続けていますが、医学がこんなに進歩しているのに、進行がんで亡くなる方はなかなか減っていないのです。

──どうしてがんで亡くなる方は減らないのでしょうか?
我が国には国民皆保険という優れた制度があり、誰もが平等に医療サービスを受けられます。しかし、保険診療で提供される標準治療だけでは、進行がんを完治させるには不十分なのです。標準治療は手術、放射線、抗がん剤の三大治療を柱にしていますが、局所療法の手術や放射線では目に見えるがんしか取り除けません。抗がん剤は全身療法ですが、これも全てのがん細胞を排除することは出来ません。また、使っているうちに薬剤耐性が出てきて効かなくなり、正常細胞まで巻き添えにすることで、大きな負担がかかります。限界が明らかな標準治療しか選択肢がないから、がんで亡くなる方が減らないのです。

──保険診療では標準治療しか選択肢がないということですね。
標準治療では進行やそれまでの治療に応じて出来ることが決まっています。例えば遠隔転移していれば基本的に手術は出来ません。標準治療を続けて、がんがどんどん進行していけば、やがては何も治療が出来なくなります。いわゆる「がん難民」になってしまうのです。もう標準治療では出来ることはないといわれても、それを簡単に受け入れられるはずがありません。でも、それが現実なのです。

「標準治療の柱となる三大療法はいずれも免疫にダメージを与えてしまう」

──オプジーボが「夢の新薬」として期待されていますが……。
抗がん剤が効かなくなった方でも使えると評判ですが、決して完治まで期待出来る薬ではありません。がん細胞は免疫細胞からの攻撃から逃れるため、様々な手段で免疫細胞の邪魔をするので、がん患者の体内では免疫が抑制されています。オプジーボはそれを解除する働きがあるのですが、解除される免疫はほんの一部です。効果があるのは肺がんで2割程度、そして看過出来ないのは1割程度の確率で自己免疫疾患という命に関わる副作用があることです。このような薬を「夢の新薬」と持て囃すのはどうかと思います。

──がん医療はどのような方向に向かうべきでしょうか?
私たちの体は免疫によって守られています。健康な方でも日々、何千、あるいは万の単位でがん細胞が発生しているのですが、免疫がそれを迅速に排除しているから、がんという病気の芽を摘むことが出来るのです。先程もいいましたが、標準治療だけでは再発や転移きっかけとなるがん幹細胞を含むすべてのがん細胞をを排除することが出来ません。そこは免疫細胞の働きにかかっているのですが、標準治療の柱となる三大療法はいずれも免疫にダメージを与えてしまうのです。標準治療偏重である限りは進行がんの完治は難しいといわざるをえません。オプジーボの登場で我が国のがん医療においてもやっと免疫が注目されるようになりましたが、がん克服の鍵は免疫であることは、何年も前から明らかにされています。

石井光 

新日本橋石井クリニック院長。昭和47年、日本医科大学卒業。東京女子医科大学外科入局後、埼玉医科大学消化器内科助手、城西歯科大学内科非常勤講師、旭ヶ丘病院副院長、米国マウントサイナイ病院客員研究員、水野病院内科部長を経て平成8年に新日本橋石井クリニックを開業。著書に『医者の罪と罰』『医者の嘘 あなたの健康寿命が延びる、国民医療費を減らす42の提言』『がんと診断されたらANK免疫細胞療法』など。
 

第2回に続く。

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