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2017-08-10

遺伝性卵巣がんの治療薬がはじめて承認申請

遺伝子の変異で起こる卵巣がんは、卵巣がん全体の約1割を占めます。この遺伝性卵巣がんの治療薬が国内ではじめて承認申請されました

BCRA遺伝子の変異で乳がんや卵巣がんのリスクは高まる
女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが将来、乳がんや卵巣がんになるリスクが高いとして、乳房と卵巣を切除して話題になりました。彼女はBRCA1という遺伝子に変異があったのですが、BRCA1とBRCA2はがん抑制遺伝子といって、傷ついた遺伝子を修復する蛋白質を作る働きがあり、細胞のがん化を防いでいます。BCRA1やBCRA2の変異で乳がんや卵巣がんのリスクは大幅に高まり、これは遺伝によって受け継がれます。

オラパリブは来年前半にも販売が開始される見込み
製薬会社大手のアストラゼネカはこのBCRA1、BCRA2の変異によって起こる卵巣がんの治療薬「オラパリブ」について承認申請を行いました。遺伝性がんの治療薬が承認申請されるのは、国内でははじめてのことで、来年前半にも承認を経て販売が開始される見込みです。遺伝性の卵巣がんは卵巣がんの約1割を占めていますが、新たな作用機序の新薬が登場することで、治療の選択肢が増えることになります。

前立腺がんなど他の遺伝性のがんにも効果が期待される
オラパリブはPARPという遺伝子の働きを阻害します。PARPはBCRA1、BCRA2と同様に傷ついた遺伝子の修復を行います。BCRA1やBCRA2に変異があっても、PARPによって修復は行われるという二段構えになっているわけです。そこで、PARPの働きを阻害してしまえば、細胞はアポトーシスに誘導されるというのが、オラパリブの作用機序になります。BCRA1やBCRA2の変異で起こるがんは、乳がんや卵巣がんだけではありません。前立腺がんをはじめ様々ながんでもオラパリブの治験は進められています。

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