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2017-03-22

がん細胞を兵糧攻めにする新薬

がん細胞がアミノ酸を取り込む際に機能する蛋白質に働きかけ、がん細胞を兵糧攻めにする化合物が開発されました。来年には治験を開始するこの化合物、早期の実用化を待ちたいところです。

 

がん細胞で過剰に発現する蛋白質
生命を維持する上で重要なアミノ酸が、細胞の中に取り込まれる際には、トランスポーターという蛋白質が重要な役割を担っています。がん細胞は正常細胞よりも頻繁に分裂・増殖するため、より多くの栄養を必要としているのですが、その際にはLAT1というトランスポーターが過剰に発現していることが明らかになっています。近年、がんの新薬はがん細胞特有の標的を狙って作用させる分子標的薬が主流になっていますが、LAT1もその標的のひとつであり、新薬開発の対象となっています。

来年には治験に入り、実用化を目指す
大阪大学の金井好克教授らのグループは、LAT1がアミノ酸の取り込みを行うことを抑え、がん細胞の増殖を防ぐ化合物を開発したことを、今月の日本薬理学会で発表しました。がん細胞を兵糧攻めにするわけですが、試験管内で膵がんや胃がんの細胞にこの化合物を与えると、増殖が少なくなることがわかりました。膵がんのマウスを使った実験でも、生存期間が長くなることを確認しています。来年には大阪大学附属病院での治験に入り、新薬としての実用化を目指しています。

 

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