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2017-03-23

どんな治療でも副作用はある

がん治療において副作用があるのは抗がん剤だけではありません。「夢の新薬」と持て囃されたオプジーボにも副作用のリスクはあります。進行がんの治療においては効く治療だから副作用があるのであって、効果と副作用の両方を勘案して、治療を考える必要があります。

抗がん剤は分裂中なら正常細胞でも攻撃
がん治療において副作用というと多くの方は抗がん剤のことが頭に浮かぶのではないでしょうか。抗がん剤は、がん細胞が正常細胞よりも頻繁に分裂することに着目し、分裂中の細胞のDNAをばらばらにしてしまいます。分裂中であれば正常細胞であっても巻き添えになってしまいます。抗がん剤の一般的な副作用である脱毛や爪の変形が起こるのはは、毛根や爪母の細胞ががん細胞と同じように頻繁に分裂するため、影響を受けやすいからです。腸の内側の細胞も同様なので、下痢などを起こす場合があります。

オプジーボには自己免疫疾患のリスクが
現在、がんの新薬は分子標的薬といってがん細胞特有の物質を狙って作用させる薬になっていますが、標的はがん細胞だけに存在するわけではありません。従来の抗がん剤、いわゆる殺細胞剤に比べれば少ない、軽いというだけで副作用のリスクはあります。オプジーボはがん細胞のPD-L1という標的に結合することで、免疫細胞のひとつであるT細胞にかけられていたブレーキを解除します。しかし、PD-L1は正常細胞にも存在するので、T細胞が暴走し、自らを攻撃する自己免疫疾患という深刻な副作用の懸念があるのです。また、代替医療においても同様です。例えばがん細胞がブドウ糖を栄養にしているからといって、闇雲に食事制限を行うと、体力を低下させかねません。

効く治療だから副作用もある
がんという重い病気を治す上では、体に対して相応に強い働きかけが求められます。何かと批判されがちな抗がん剤をはじめとする標準治療ですが、がんを叩くという意味では最も強力な治療なのです。それゆえに副作用も出てしまうということです。標準治療は全てのがん細胞を排除することは出来ません。進行がんにはそれを補完する治療が求められます。先端医療や代替医療もどんどん行うべきですが、それぞれの効果と副作用を考え、広い視野で治療を組み合わせていくべきです。昨今、一部の医師やメディアが煽っているように、標準治療を完全否定するのはナンセンスですし、反対に標準治療しか真っ当な治療として認めないというのもおかしいのです。

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