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2016-07-14

末期がん患者への医療用大麻の是非

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ひとりの末期がんの患者が大麻の所持で逮捕され、その裁判が行われています。抗がん剤は効かなかったが、大麻で症状が改善したということで、生きる権利としての無罪を訴えています。


腫瘍マーカーの数値まで改善
7月12日、ひとりの末期がん患者が等居地裁の法廷に立ちました。2015年の12月、大麻を所持していたとして逮捕され、大麻取締法違反の罪に問われた58歳の男性の公判があったのです。男性は2014年に末期がんで余命6箇月との診断を受けました。抗がん剤等の治療は既に効果がなくなったため、翌年の3月から自宅で大麻を栽培して使用しだしたところ、痛みが消えたり、食欲が増したり、よく眠れるようになったりしたほか、腫瘍マーカーの数値も改善したそうです。恐らくは日常的に使うようになっていたのでしょう。

モルヒネは患者に使うなら安全
末期がんと診断された患者に対しては、緩和ケアのひとつとして医療用麻薬のモルヒネが用いられます。がんの部位によっては終末期の痛みは患者にとって大きな苦しみとなります。痛みは医学的に対処出来る症状であり、痛みを和らげることは、人道的な意味で至極真っ当なことですし、激しい痛みのある状態で使用する場合には、依存症というリスクはないのです。先の参院選東京選挙区ではひとりの候補が大麻の合法化を訴えていました。単に精神をリラックスさせるだけではなく、健康を増進させ、様々な病気の治療にも役立つというのです。大麻は国によっては合法ですし、一般的に思われているような依存性はないという説もあります。そして、大麻に含まれているカンナビノイドという成分には、様々な薬理作用があるため、違法にならないように成分を取り出した商品もあるくらいです。

標準治療でなければ費用は高額
弁護側は、患者は生きる権利、治療法を求める権利があるとして、大麻取締法の違憲と男性の無罪を訴えました。この国に生きている以上、法令を守らなければならないのは当たり前であり、生きる権利や合憲性にこじつけるのは、少々苦しい気はします。保険診療の中で選択肢がなくなり、自由診療を受けたり、あるいは海外での治療を受けたりしている患者は少なからずいますが、費用は何百万円、場合によっては何千万円という金額になり、命が懸かっているにしても、それを支払える方はひと握りでしょう。目の前の大麻に頼った気持ちは理解出来なくはありません。

「次は法廷に立てないかもしれない」
大麻の効果や安全性についてはまだまだ検証を重ねなければならない部分があります。また、現状での違法な流通の実態を見る限り、その効果や安全性が確認されたとしても、健全な流通や使用を確保するまでには、かなりの論議を重ねる必要があるでしょう。とはいえ、標準治療だけでは限界があることが明らかになっているがん医療に対しては、新たなアプローチが必要です。8月に行われる論告求刑と最終弁論では、「次は法廷に立てないかもしれない」と男性はコメントしていますが、この事件ががん医療の大きな問題である標準治療の限界について考える端緒になってほしいと思います。

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