オプジーボに競合が登場するとどうなる?
昨年からがん治療薬の話題の中心となっているオプジーボですが、他社から同様の製品が登場しました。免疫チェックポイント阻害剤という市場を独占して、一気に使用が増えたオプジーボですが、様々な問題も露呈しています。今後はどのように推移していくのでしょうか。
オプジーボと同様の作用をする競合製品
免疫チェックポイント阻害剤「キイトルーダ」が皮膚がんの一種である悪性黒色腫の治療薬として保険適用となる見込みです。画期的ながん治療薬として話題になっているオプジーボと同様の作用をし、いわば競合となる製品ですが、米国ではオプジーボよりも先に悪性黒色腫の治療薬として承認を受けていました。なお、オプジーボは昨年の暮れに非小細胞肺がんでも保険適用となり、使用が一気に増えましたが、キイトルーダも既に承認申請済みで、来年には結論が出そうです。
米国ではキイトルーダが画期的新薬に指定
がん患者の体内では免疫が正常に働いていません。がん細胞は免疫細胞から隠れたり、免疫細胞を混乱させたり、時には反撃したりしています。これらを免疫抑制といいますが、そのひとつががん細胞のPD-L1という物質が免疫細胞のPD-1という物質に結合し、機能を止めてしまうという作用です。免疫チェックポイント阻害剤はこのPD-L1に先回りして結合し、免疫細胞の邪魔をさせないようにします。日本に先駆けてキイトルーダが承認されている米国では、9月3日、PD-L1の発現度合いが高い非小細胞肺がんの初回治療において画期的新薬の指定を受けています。競争の原理で問題点の克服を
対象とするがんが重なっており競合となるキイトルーダとオプジーボですが、現時点で効果の優劣ははっきりしていません。実はこの分野の新薬は大手製薬メーカーがこぞって開発を行っており、今後も競合が登場することが予測されます。国産の新しいがん治療薬ということでも話題になったオプジーボですが、このところの話題では年間3000万円を超える薬価や、効果の見込める患者に適切に使えているかどうかなど、ネガティブなニュアンスが多かったようです。キイトルーダもオプジーボに近い薬価が付けられることが予測されますが、効果が同様であれば、少しでも競争の原理が働いてもらいたいものです。確かに保険治療であれば患者の支払は自己負担分のみで、高額医療費制度を使えば上限もあります。とはいえ、オプジーボの課題は薬価だけではありません。夢の新薬のように持て囃されましたが、効果があるのは3割程度であったり、1割程度と高い確率で自己免疫疾患の副作用があったり……という報告があります。まだまだ克服すべき点は多いからこそ、後発の競合にはさらなる進歩を望みたいものです。