toggle
2016-07-01

三大療法の長所と限界

三大療法を柱とする標準治療の限界が、よく話題になります。では、その治療を受ける意味はないのかといえばそんなことはありません。がんを叩く力は、三大療法が最強だからです。

がんを直接叩ける三大療法
保険診療で実施されるがん標準治療の中心「三大療法」は、手術、放射線療法、抗がん剤を指します。手術は大きな腫瘍を一度に根こそぎにします。放射線と抗がん剤は治療中に分裂している細胞を傷害し、増殖の勢いを止めます。がんとの闘いではがん細胞の数を減らすことが最も重要です。がん細胞を大幅に減らしたり、増える勢いを止めたりすれば、短期間で優位に立つことが出来ます。それが出来るのは三大療法の大きな長所といえます。

局所のがんは三大療法で
がんには早期がんと進行がんがあります。いいかえれば一箇所にまとまっている局所のがんと、発生した部位から飛び散った全身性のがんということです。局所のがんは内視鏡や手術でがん細胞を根こそぎ取り去れば、ほぼ大丈夫です。がんの部位によって放射線治療が選択される場合も、かなりよく治ります。局所のがんなら三大療法で助かる確率はかなり高いといえるのです。そういう場合にまで他の治療法を探すのは、無駄といってもいいくらいです。

限界再発や転移には無力な三大療法
しかし、よくいわれているように、三大療法には限界もあります。まず、局所のがんと対極にある全身性のがんは、三大療法では治しきれません。そもそも手術と放射線は局所療法なので、がん細胞が体のあちこちに散らばってしまうと、武器として使えなくなります。全身に散ったがん細胞に対して有効とされるのは、抗がん剤による化学療法です。
しかし、殺細胞剤は分裂中の細胞を殺す仕組みですから、分裂していないがん細胞は必ず生き延びます。何クール投与を繰り返しても、生き残るがん細胞とのいたちごっこになってしまうのです。

三大療法の補完が課題
他にも三大療法には免疫にダメージを与える、副作用を伴う、抗がん剤はいずれ薬剤耐性が現れるといったデメリットや限界があります。しかし、治療法としての最大の限界は進行がんを治しきれないということに尽きるでしょう。逆にその限界を補う治療法を加え、上手に組み合わせていければ、三大療法の長所を最大限に活かし、がんから生還する人を大きく増やすことが出来るはずです。

Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0
関連記事