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2024-03-22

ATLの新薬が作用する仕組みを解明

ATLは血液のがんですが、症例が少なく、劇症化した場合にはあまり効果的な治療がありませんでした。

遺伝子に作用する全く新しい作用機序

がんは、遺伝子の変異が積み重なって、細胞ががん化し、それが分裂・増殖を繰り返した結果で、いってみれば遺伝子の病気です。私たちの体内にはがんの発生や進行を食い止めるがん抑制遺伝子が備わっていますが、DNAが巻き付くヒストンという分子がメチル化という変化を起こすなどの原因で、がん抑制遺伝子が十分に機能しないことがあります。バレメトスタットという新たながん治療薬は、このヒストンをメチル化する酵素の働きを妨げますが、実際にがんに対してどのように作用するかは確認されていませんでした。パレメトスタットの開発者である山岸誠東京大学准教授らは、現在、保険適応になっている成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)のがん細胞を分析し、メチル化した分子によってDNAが集まり、がん抑制遺伝子が働かなくなっていることを発見しました。そして、そこにバレメトスタットを投与すると、メチル化した分子が減って、DNAの塊が崩れ、がん抑制遺伝子が働きはじめることも明らかにしています。また薬剤耐性が生じる仕組みについても、パレメトスタットを投与していても、DNAのメチル化が進むと、がん抑制遺伝子が機能しなくなることを確認しており、DNAのメチル化を促す酵素を阻害する治療との組み合わせで、効果を長く維持出来るのではないかと推測しています。

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