2023-12-27
免疫チェックポイント阻害剤の急速な適応拡大が物語ること
国内でオプジーボが承認されてから、来年で10年。免疫チェックポイント阻害剤は、急速に普及していきました。
がんは免疫の病気
オプジーボが2014年に保険適応となって、来年で丁度10年になります。当初は、悪性黒色腫という国内では患者の少ないがんが対象でしたが、そこから非小細胞肺がんを皮切りに、様々ながん種へと拡大が進みました。競合のキイトルーダ、同じ免疫チェックポイント阻害剤のヤーボイなどを含めれば、かなりのがん種に対して様々な段階で使用が出来るようになりました。従来、がんの化学療法といえばがん細胞の盛んな分裂を利用し、分裂中の細胞を傷害する古典的な抗がん剤(殺細胞剤)、そしてがん細胞が特異的に発現し、異常な分裂に関わっている蛋白質を標的に作用し、分裂を抑制する分子標的薬が主流でしたが、それらに並んで、場合によっては置き換わる勢いで普及が進んでいます。免疫チェックポイント阻害剤は、簡単にいえば、がんによる免疫への抑制を解除することで、患者自身の免疫を回復させます。こうした新薬が急速に普及した背景には、がん細胞を対象として攻撃する古典的な抗がん剤では、なかなかがんが制圧しきれないという現実があるのでしょう。そもそも、免疫が十分に機能していれば、がん細胞という異物は、発生した時点で排除されます。しかし、免疫が何らかの要因で衰えると、がん細胞は生き延びて、どんどん増殖していくのです。還元すればがんとは免疫の病気であり、やっとそこに取り組みはじめた結果が、免疫チェックポイント阻害剤の誕生であり急速な普及なのです。
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