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2023-09-12

HER2低発現はがん種を問わず頻繁に認められる

従来はHER2陰性とされ、HER2標的治療の対象でなかったがんでも、HER2低発現という新たなカテゴリーに分類されるようになりそうです。

HER2低発現ならHER2標的治療は有効

進行の速いがんの多くは、HER2という蛋白質を発現しており、これを標的にして、働きを抑制する治療は、抗HER2抗体として分子標的薬のベストセラーであるハーセプチンなどが開発され、乳がんなどに保険適用になっています。そして、これまでの治療は、HER2陽性が対象であり、一定量の発現がない場合は保険適用とはなりませんでした。一方、近年開発された抗体薬物複合体のエンハーツは、抗HER2抗体と低分子の抗がん剤を結合させ、抗体の働きでがんを狙い撃ちします。当初はHER2陽性の乳がんが対象でしたが、その後の治験では従来はHER2陽性とならないHER2低発現であっても効果が確認され、適用が拡大されています。これを機に、HER2に関しては陽性、陰性に加えて、低発現というカテゴリーが生まれています。米国のテキサス大学MDアンダーソンがんセンターで進行、または転移を有する固形がん患者4,701例を対象としたHER2発現状態、そして乳房と胃・食道の原発。及び転移腫瘍のHER2発現状態を検証したところ、HER2発現は全体の49.8%で認められ、HER2低発現は多くのがん種で認められました(乳がん47.1%、胃・食道がん34.6%、唾液腺がん50.0%、肺がん46.9%、子宮内膜がん46.5%、尿路上皮がん46%、胆嚢がん45.5%)。HER2低発現ががん種を問わず、多くのがんで認められるということは、従来はHER2陰性とされてきた場合でも、HER2標的治療の対象となる可能性があることになります。

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