toggle
2023-08-21

抗エストロゲン剤は、エストロゲン受容体陰性の乳がんでも有効だった

女性ホルモンの影響で進行する乳がんには、その働きを抑制する治療が行われてきました。

全てのがん種で抗エストロゲン剤が有効である可能性

乳がんには幾つかのタイプがあり、女性ホルモン(エストロゲン)の影響で進行するかどうか、HER2という蛋白質を発現しているかどうか、またこれらの性質を合わせ持っているかどうかで、治療が確立されています。女性ホルモンの影響を受けて進行する乳がんは、エストロゲン受容体が陽性であり、このタイプには抗エストロゲン剤が治療に用いられます。陰性の場合、抗エストロゲン剤は不適応なのですが、北海道大学の研究でエストロゲン受容体陰性の乳がんであっても、エストロゲンが進行を促進していることが明らかになりました。エストロゲンは、免疫を抑制することが試験管レベルでは確認されていましたが、マウスによる実験でエストロゲンは、がん細胞を攻撃する細胞傷害性T細胞に作用して、がんの進行を助長していることがわかったのです。そして、抗エストロゲン剤を投与することで、進行が抑制されました。さらに、免疫チェックポイント阻害剤との併用では劇的に抗腫瘍効果が発揮されたのです。この結果は、エストロゲン受容体陰性のがんのみならず全てのがん種において抗エストロゲン剤が有効である可能性を示唆しています。

Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0
関連記事