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2019-12-19

進行がんからの生還の鍵はセカンドオピニオン8

進行がんからの生還の鍵はセカンドオピニオン

標準治療は進行がんに対しては延命しか行わない
保険診療で提供される標準治療は、科学的根拠と多くの検証に基づく信頼出来る治療です。しかし、進行がんに対しては限界があり、現実的には完治よりも延命を目的とする治療になってしまいます。

がんが早期で原発部位や周辺のリンパ節に留まっている場合は、手術や放射線といった局所療法で完全に取ることが出来ます。しかし、浸潤が進んだり、遠隔転移したりすると、がん細胞は全身に散らばっており、抗がん剤による全身治療が必要です。

抗がん剤は、がん細胞が盛んに分裂することに着目し、分裂中の細胞を傷害することで、がんを縮小させます。しかし、再発や転移の原因となるがん幹細胞は、分裂の周期が長く、抗がん剤の攻撃から生き延びてしまうのです。

従って、進行がんに対しては基本的に抗がん剤を繰り返し、完治ではなくて延命を施すしかないのが、標準治療の現実です。

先端医療などで標準治療を補完して、進行がんを克服
がんが進行して、手術が不可能だとか、もう緩和ケアしか出来ないという患者さんはたくさんいらっしゃると思いますが、あくまでも標準治療のガイドラインに従った場合です。自由診療も選択の範囲に加えれば、ステージ4や末期の患者さんでも完治や生還を目指してやれることはたくさんあります。決して諦めることはありません。

がん細胞が全身に散らばっている場合、奏効率は最初に使うファーストラインの抗がん剤で3~5割、セカンドラインで1~3割といわれます。ガイドラインではサードラインまで決まっていますが、生き残ったがん細胞には抗がん剤への耐性が出来て、奏効率はどんどん悪化していくのです。

全身に散らばったがん細胞を排除するには、遺伝子治療や免疫治療で標準治療を補完していく必要があります。こうした治療は自由診療で行われています。保険診療ではそれ以外の治療を勧めたり行ったり出来ませんから、こうした自由診療を希望される患者さんは、まずは先端医療などの自由診療に精通した医師に、セカンドオピニオンを求めることが必要です。

同じ標準治療でも医師によって違いが
保険診療の原則は均てん化された医療ですが、現実には医師や医療機関の優劣はあります。多くの患者さんはがんと診断されたら、紹介された先で治療を受けますが、それがベストの環境とはいいきれないのです。医師や医療機関のことを一番知っているのは医師です。自分のがんを一番得意としている医師や医療機関を紹介してもらうのは、セカンドオピニオンの利用法のひとつです。

また、標準治療にはガイドラインが設けられていますが、それに沿って判断するのは医師です。症状や体調、環境、リスクなどの要因で個々の医師の判断は変わってきます。最初に診断してもらった医師に、手術は無理だとか、緩和ケアしか出来ないといわれても、別の医師の見解が異なるということは少なくありません。
諦めずにセカンドオピニオンを聞いてみましょう。

▼セカンドオピニオン▼

胃カメラの検査を受けたところ、その場で胃がんとの診断を受けました。担当医からは「厳しい状況。胃のまわりにある大切な血管をがんが取り巻いていて、手術は難しい。抗がん剤で叩いて、がんが小さくなれば手術出来るかもしれないが期待はしないでください」といわれました。

リンパ節への転移があり、手術になるとしても拡大手術が予想されました。明日からTS‐1、オキサリプラチン(抗がん剤)の投与がはじまりますが、副作用に耐えられるか心配です。告知では治る可能性よりも余命を意識させられ、失意の中にいます。《68歳女性》

手術前の体力があるうちに抗がん剤治療を行い、
手術に移行した方がよい治療成績が得られる

胃がんが周囲に浸潤しているケースでは、根治を目指して拡大手術をしたとしても再発するケースが少なくありません。拡大手術を行うことで、体力が落ち、術後の抗がん剤治療が完遂出来ないことも、原因のひとつとされています。

逆に手術前の体力があるうちに抗がん剤治療を行い、その後、手術に移行した方がよい治療成績が得られるのではないかという考えもあります。ある臨床試験では術前に抗がん剤を2コース行った後に、拡大手術を行うことで、約65%で抗がん剤が奏効し、その8割の症例で根治切除が可能であり、5年生存率が52%であったという結果が出ています。主治医の考えはわかりかねますが、「期待しないでください」というのはいいすぎではないかと思います。

また、SOX療法(TS‐1+オキサリプラチン)は、従来のSP療法(TS‐1+シスプラチン)と比べて、治療成績に殆ど差はなく、重篤な副作用が起こる可能性も低いため、高齢者ではこちらのほうが選択されています。

また、外来通院での治療も可能です。副作用が全くないわけではないのですが、副作用を緩和させる薬が、新しく登場しています。抗がん剤治療も拡大手術も確かに大変なのですが、これだけ根治出来る能性があるのですから、失意されることなく希望を持って、今後の治療に臨んで欲しいと思います。

≪取材協力≫ 銀座みやこクリニック https://gmcl.jp/

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