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2023-07-28

がん治療の進化で患者の経済的負担は大きくなっている


がん治療が発展し、生存率が改善するする反面、個々の治療の費用は高騰し、治療も長くなって、患者の経済的負担は増しています。

近年、がん治療は目覚ましい進化を遂げています。手術ではヒトよりも精密作業が出来るロボットが実用化され、内視鏡化で大きくメスを入れることなく、がんを取り除けるようになりました。放射線では従来のX線に加えて、重粒子線や陽子線が用いられるようになり、患部にピンポイントで高い出力での照射が可能になっています。また、化学療法では古典的な抗がん剤(殺細胞剤)に加えて、がん細胞に特異的な蛋白質を目印に作用して、増殖を抑制する分子標的薬や、がんが免疫にブレーキをかけた状態を解除する免疫チェックポイント阻害剤などが標準治療に加わっています。こうして治療の効果が改善し、選択肢も広まり、生存率がどんどんよくなっていく中、見逃せないのは患者の経済的負担が大きくなっていることです。免疫チェックポイント阻害剤のオプジーボの薬価が話題になったように、最新の治療は高額になりがちで、治療でより長く生きられるということは、治療は長く、医療費は嵩んでいくことを意味します。我が国には皆保険制度があり、保険診療なら誰もが一定の割合を自己負担するだけで済み、さらに高額療養費制度によって収入に応じた自己負担の上限まであります。このように恵まれた環境にない諸外国では経済的な事情で治療を諦める患者は少なくありません。

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