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2016-10-07

腎臓がんを乗り越え、リングに復帰した小橋建太さん(後編)

 ──復帰されてからの体の調子はどうでしたか?
病気をする前が120kg前後。それが20kgくらい落ちて……結局、元には戻りませんでした。蛋白質を制限しなければいけない食事の影響はあると思います。それから感覚的なことなのかもしれませんが本来は左右にある腎臓が片方だけになってしまうと、バランスが崩れてしまうんでしょうか。それまでは気づかなかった怪我や不調が、表に出てきました。
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「ファンが誇りに思ってくれるような試合が出来なくなったから、引退を決めた」

 
──それから2013年まで現役を続けられましたが、がんでも諦めなかったプロレスを引退された理由は?
長くプロレスをやってきて、満身創痍の状態ではありました。特に首は何かあれば立てなくなる危険があるほど悪化していたんです。首にメスは入れたくなかったんですが、状態が状態だけに骨盤の骨を移植しました。その手術自体は成功しましたが、復帰に向けてのリハビリの際に、骨盤のほうにひびが入ってしまったんです。それでさすがに考えざるをえなくなりました。まだやれる、まだやりたいという思いともう無理かなという思いで毎晩眠れないほど悩みました。……それで出た結論が、もう小橋建太のプロレスは出来ないなということだったんです。──小橋さんといえば体を張った激しいファイトで、たくさんのファンを魅了してきました。
世の中にはたくさんの娯楽もスポーツもあります。その中でプロレスを好きになってくれて、プロレスリング・ノアの試合を見に来てくれて、そして小橋建太のファンになってくれた──奇跡みたいな出会いです。それを一番大事にしたいと思っています。だから、誰でも出来るような当たり前の試合なんて出来ないんです。ファンが誇りに思ってくれるような試合を見せていかないと。残念ながらそれが出来なくなったから、引退を決めたんです。
 
──プロレスを離れたら、小橋さんは燃え尽きてしまうんじゃないかと心配されていた方は多いようですが……
 一番いい時に腎臓がんと宣告されて、地獄を味わいました。何より大好きなプロレスが出来なくなるという不安。そして、応援してくれるファンを心配させ悲しませたという申し訳なさ。そんな中でまずは生きることで、その先があるんだということを知りました。プロレスで頑張るのも人生なら、別の道で頑張るのも人生なんです。プロレスが自分の青春だから、それを支えてくれた方がいるから、第二の人生でも成功しているところを見せないといけない。去年、子供が生まれて、残念ながらリングでの姿は見せられませんでしたが、親父の背中をしっかり見せていくという責任があります。

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──先日の検査で10年間、再発なしという診断だったそうですが……。
一応は10年再発がなければ完治と考えてよいとはいわれています。でも、これからいろいろな病気が出てくる年代ですし、決して油断してはいけないと思っています。腎臓が片方しかないので、どうしても負担が大きくなるので、毎日たくさん水を飲んで、老廃物を出すように心がけています。10年前、腎臓がんだとわかって、全てが終わったような気がしました。でも、あの時を経験したから、生きてさえいればその先があるとわかりました。終わりと思えたことが始まりだったんです。同じようにがんと闘っている皆さんも、今は本当につらいと思いますが、決して挫けずに頑張ってほしいと思います。

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小橋建太オフィシャルWEBサイト Fortune KK
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まごころリアルエステート
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