2023-03-16
進行がんの医師が自ら取り組む糖質制限によるがんとの共存
長年、がんの専門医として診療を行ってきた医師が、ひとりの患者として共存の手段に選んだのは糖質制限でした。
糖質の代わりに脂肪をエネルギー源に
長年、がんの緩和ケアに取り組んできた山崎明章郎医師は、2018年、大腸がんステージ3と診断されます。手術後、再発に備えて抗がん剤の投与を開始し、副作用の激しさに治療を何度も中断したり、抗がん剤の量を減らしたりしましたが、結果的に両方の肺に転移が発見されました。残りの時間のQOLを考慮し、抗がん剤を止めることにして、がんとの共存の手段として見つけ出したのが糖質制限でした。がん細胞がエネルギーとする糖質を制限して兵糧攻めにし、代わりのエネルギー源として多量のMCTオイルで脂肪を摂取したのです。糖質を制限すると、私たちの体内ではケトン体を作ってエネルギーとしますが、これにはがん細胞の増殖を抑制する働きがあります。この取り組みによって3か月後、肺への転移は多くが消失し、残りも縮小していました。その後もDHAやメトホルミンなどがんによいといわれるものを補いながら、がんは一進一退で、上手く共存が出来ている状態といえます。実は、糖質制限によるがん治療は以前から多くの方が提唱しており、その中には劇的な効果があった症例すらあります。ただ、一方で糖質の制限は体温を低下させて免疫を落とすため、かえってがんが進行するのではないかという否定的な意見もありました。ただ、この事例が大きく異なるのは、がんを専門とする医師が、科学的根拠に基づき、検証という見地から取り組んでいる点です。がんとの共存への新たな提案としてこの試みを注視したいと思います。
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