2022-08-29
mRNAを利用したオーダーメイドがんワクチン
ワクチンは免疫の仕組みを利用しており、感染症だけでなくがんにも有効です。
2023年には治験の結果が明らかに
新型コロナウイルスの対策として開発されたワクチンの中には、mRNAを利用したものがありました。皆さんが接種した多くもmRNAワクチンです。私たちの体内では成長や生命維持のため、常にアミノ酸から蛋白質を合成しています。その設計図となるのが、DNAに記載された生命の設計図である遺伝子です。DNAの二重螺旋上には4種類の塩基が配列されており、その配列が特定のアミノ酸を意味します。蛋白質を合成する際には、まずDNAがmRNAに転写され、その情報に従って複数のアミノ酸を集めて合成するのです。新型コロナウイルスワクチンの場合、ウイルスの目印となる蛋白質を合成するように作られた人工のmRNAが開発されました。そして、その技術はがん治療にも活かされており、個々の患者のがん細胞の遺伝子を解析し、特徴的な蛋白質を幾つか抽出した上で、それを合成するmRNAをオーダーメイドで作成して投与します。このmRNAが作り出した蛋白質は、がん細胞の目印となる抗原であり、それが体内でどんどん作られることで、免疫が刺激され、がんを攻撃するようになるのです。このような新薬を手がける会社のひとつである米国のGridstone bioは、2023年頃には第2・3相のの治験の結果が出るので、承認を目指していくとコメントしています。
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