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2021-09-15

がん遺伝子治療の理想像


がんは遺伝子の異常が原因で起こる病気です。

ヒトゲノムの解読で遺伝子治療が開発

がんは遺伝子の病気です。私たちの体は成長したり、生命を維持したりするために、絶えず細胞分裂を繰り返しています。その際に細胞の設計図である遺伝子が正常に複製されず、無制限に、無秩序に分裂を繰り返して増殖するがん細胞が発生し、それが時間をかけて、大きながんになっていきます。ヒトゲノムの解読は、遺伝子という観点からがんを明らかにして、その治療も開発されています。新薬の主流である分子標的薬は、こうした遺伝子の異常に着目し、そこを標的にして作用し、増殖を抑制します。また、近年、保険適用になったがん遺伝子パネル検査は、どのような遺伝子の異常があるかを調べて、それに応じた分子標的薬を探すことが目的です。

がん遺伝子治療はオーダーメイドへ

また、がんに関しては国内では承認されていませんが、異常な遺伝子を人為的に補う遺伝子治療も開発されています。がん細胞は、分裂に関係する遺伝子が壊れて、際限なく増殖したり、遺伝子の異常を修復し、修復が間に合わない場合は細胞死に誘導する遺伝子が壊れたりしています。これらの遺伝子を人工的に作って、ウイルスなどを利用して、がん細胞に送り込んでやることで、がん細胞の分裂が止まったり、細胞死に誘導されたりします。現状ではがんの種類や症状などから定性的にどのような遺伝子を使うかが決められていますが、いずれは遺伝子検査でどの遺伝子に異常があるのかを突き止めた上で、その遺伝子を補うオーダーメイド治療へと進化していくのでしょう。

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