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2019-12-12

新しいタイプのがん治療薬とは?

がん治療はどんどん進歩し、新たな治療薬が開発されています。

抗がん剤は、副作用が難点
一般的にがんの治療薬といえば抗がん剤がイメージされます。がん細胞が正常細胞よりも頻繁に分裂することに着目し、分裂中の細胞のDNAを攻撃することで破壊します。抗がん剤の欠点は、分裂中であれば正常細胞まで攻撃し、様々な副作用を招くことです。また、分裂中でなければがん細胞は生き延びるので、全てのがん細胞を排除出来ないことです。そのため、抗がん剤は何回も繰り返して使われますが、再発や転移のきっかけになるがん幹細胞はあまり分裂しないため、抗がん剤だけで排除することは困難なのです。また、抗がん剤はがん克服の鍵となる免疫細胞にもダメージを与えてしまいます。

欧米では分子標的薬が主流
こうした従来の抗がん剤のデメリットを解決するため、異なる作用機序の新しいがん治療薬が開発されています。まずは分子標的薬ですがこれはがん細胞に特異的に発現する分子を目印に作用し、増殖を抑制します。がん細胞を効率よく狙い撃つため、従来の抗がん剤よりも副作用は穏やかです。我が国でも多くの分子標的薬が承認され、標準治療に組み込まれていますが、まだ抗がん剤にとって代わるまでには至らず、抗がん剤が基本になっていますが、欧米ではこの分子標的薬のほうが一般的になりました。

いかにがん細胞だけを叩くか
新しいタイプのがん治療薬のポイントは、いかに正常細胞に影響を与えず、効率よくがん細胞を叩くかになります。前述の分子標的薬は、免疫の仕組みにおいてはがん細胞に特異的に発現する分子が抗原であり、分子標的薬が抗体になります。この抗体と従来の抗がん剤を結合させたものが抗体医薬複合体です。抗がん剤の攻撃力をがん細胞に効率よく伝えるための組み合わせといえます。他には遺伝子の改変によりウイルスを無毒化し、さらにがん細胞に感染し易くした腫瘍溶解ウイルスも、開発が進んでいます。

T細胞を活用するオプジーボやキムリア
近年、新しいタイプのがん治療薬として話題になったといえば、オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害剤、キムリアが国内でも承認されたCAR-Tがあります。いずれも免疫細胞の一種であるT細胞を活用するものです。免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞がT細胞にかけているブレーキを緩めます。CAR-Tは患者自身のT細胞の遺伝子を改変し、がん細胞への攻撃力を高めたものです。

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