2020-08-04
膵臓がんの新薬は、既存の抗がん剤とDDSの組み合わせ
がん細胞を狙い撃つ技術は、新薬開発のポイントのひとつです。
抗がん剤治療はいずれ続けられなくなる
膵臓がんは最も厄介ながんといわれ、他のがんと比べても、5年生存率の低さが目につきます。また、自覚症状が少なく、体の奥まった部分に出来るため、進行した段階で見つかることが多く、周囲への浸潤や転移していることが多いのです。手術が出来ない場合、化学療法が行われますが、FOLFIRINOX(5-FU、イリノテカン、オキサリプラチンの3種類の抗がん剤と増強剤であるレボホリナートの併用)、もしくはアブジェムといってアブラキサン(ナブパクリタキセル)とジェムザール(ゲムシタビン)の併用が一般的です。しかし、多くの患者は、副作用がつらくて続けられなくなったり、効果が見られらくなたりした結果、次の治療に切り替えざるを得なくなります。
リポソームで抗がん剤をがん細胞に送り込む
今年になって「治癒切除不能な膵がん」の治療薬としてオニバイドが承認されました。 オニバイドは、2次治療において有効性を証明されており、久々の品役承認となりました。オニバイドは、体内で様々な物質を伝達するリポソームで、FOLFIRINOXにも使われる一般的な抗がん剤であるイリノテカンを包み込んだものです。リポソームは幾つかの脂質で出来ており、その構成によって特定の細胞だけに物質を伝達することが出来ます。この仕組みを利用したDDS(ドラッグデリバリーシステム)はがん細胞を狙い撃つ技術として、様々な新薬に利用されるようになりました。がん細胞を狙い撃てれば、副作用を軽減し、がん細胞を効率よく叩けるからです。
関連記事