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2019-01-15

ウイルス製剤と放射線の併用で食道がんが消失

食道がんの手術は大がかりで負担が大きく、可能な場合でも別の選択肢がとられることがあります。

13人中8人のがんが完全に消失
岡山大学のグループが開発したがん細胞だけを攻撃するウイルス製剤が、放射線との併用で食道がんに大きな効果があったことを発表しました。このウイルス製剤はテロメライシンといい、風邪ウイルスの一種であるアデノウイルスの遺伝子を改変したものです。体内でがん細胞にのみ感染して破壊しますが、正常な細胞には感染しません。2013年から昨年まで高齢や腎機能障害で手術が行えない50代~90代の食道がんの患者13人に対して、テロメライシンを投与した後に、放射線の照射を6週間行い、その間にテロメライシンを2回追加で投与する臨床試験を行ったところ、8人はがんが完全に消失、3人は縮小、1人は変化なしという結果になり、残り1人は病状が進んだため、治療を中断しました。

食道がんでは化学放射線療法も手術と大差がない
食道がんの手術は胸部を大きく切開するため、嚥下や呼吸に後遺症が出ることが多く、近年では抗がん剤と放射線の併用による化学放射線療法が手術と大差のない5年生存率であることも相まって、手術が避けられるケースが増えています。テロメライシンと放射線の併用はそのような場合の有効な選択肢になりそうです。同大学の藤原俊義教授は2023年頃には承認申請を行いたいとコメントしています。

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