オプジーボが登場するまで、悪性黒色腫には決め手となる治療はありませんでした。
オプジーボの画期的な作用機序
先日、ノーベル医学生理学賞を授与された本庶佑京都大学特別教授の発見によって生まれたのが免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」です。従来の抗がん剤が、がん細胞が正常細胞よりも頻繁に分裂することに着目し、分裂中の細胞を攻撃し、がん細胞を減少させるのに対して、オプジーボは全く異なる機序で作用します。がん細胞は免疫細胞の攻撃から逃れて生き延びるため、様々な形で抑制をかけています。そのひとつとして免疫細胞の一種であるT細胞表面にあるPD-1に、がん細胞の持つPD-L1を結合させることで、T細胞が機能出来なくしてしまいます。オプジーボは先にPD-1と結合してしまうことで、PD-L1による免疫抑制を解除することで、免疫の力でがん細胞を退治する薬なのです。
転移した悪性黒色腫から回復したジミー・カーター氏
オプジーボは当初、悪性黒色腫の治療薬として承認されました。悪性黒色腫は白色人種に多い皮膚がんですが、それまで決め手となる治療がなく、オプジーボの登場は画期的なことでした。オプジーボの奏効例として知られるのが、元米国大統領のジミー・カーター氏で、2015年にオプジーボの治療を受け、脳や肝臓にまで転移した状態から、ほぼがんが見つからない状態にまで回復しています。
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