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2017-07-10

東京大学と理化学研究所が新たながんワクチンの治験を開始

東京大学と理化学研究所が新たながんワクチンの治験に着手しました。従来のがんワクチンと異なり、効果が長期間持続するという特長があります。

がん細胞が変異すると、がんワクチンは効かなくなる
がんワクチンとは、がん細胞に過剰に発現している物質を投与することで、免疫を刺激し、がんを攻撃する薬です。樹状細胞に抗原を提示されたT細胞が活性化され、がん細胞を攻撃します。問題はがん細胞は変異しやすく、目印となる物質が一定ではないことです。そうなるとT細胞は攻撃しなくなりますから、がんワクチンの効果は長続きしないのです。

獲得免疫と自然免疫の両方を活性化
東京大学と理化学研究所は、この短所を補ったがんワクチンの治験を開始することになりましたこのワクチンはヒトの細胞を遺伝子操作したaAVCという細胞で、がん細胞の目印となる物質を大量に作り、がん細胞を攻撃しやすくします。また、がんに対する免疫としては抗原の提示によってがん細胞を異物として認識することで、T細胞が攻撃を行う獲得免疫と、抗原提示がなくてもNK細胞が攻撃を行う自然免疫のふたつがありますが、aAVCには自然免疫を活発にする糖脂質を導入しています。

動物実験ではがんが縮小し、効果が1年以上持続
治験ではまず急性骨髄性白血病の患者を対象に、効果と安全性を検証します。動物実験ではがんが縮小し、効果が1年以上持続することが確認されています。また、大きな副作用や薬剤耐性の出現もないということです。理化学研究所によると様々ながんに対応出来るということなので、治験の結果に期待したいところです。

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