2017-07-05
がんは細胞単位の病気、そして全身の病気
胃がん、大腸がん、肺がんなどといいますが、がんは局所の病気ではなく全身の病気です。仮にがんが消えたとしても、完治を目指すには、全身への治療が必要です。がんが消えても、治ったとはいえない
がんは体の様々な部分に出来ます。そして、患部によって胃がん、大腸がん、肺がんなどと呼ばれます。がんが出来た場合、まずは手術や放射線による治療を行います。これらの治療でがんが消えても、完治とはいえません。がんは細胞の単位で存在し、なくなったことが確認出来るのはあくまでも目に見える範囲に過ぎません。検査でわかるがんは直径1cm、細胞の数にして10億個以上が目安になりますが、僅かながん細胞からでも再発はありえます。再発を防ぐために、抗がん剤などの化学療法を行うのはそのためです。がん細胞は全身に運ばれ、転移の原因に
さらに、がん細胞は同じ部位に留まっているわけではありません。血液やリンパの流れに乗って、体の様々な部位に運ばれます。がんがある程度進行していれば、がん細胞は体のいろいろな部分にも存在しており、そこで分裂と増殖を繰り返して腫瘍になることが転移です。転移が認められた場合、既にがん細胞は全身の様々な部位に飛び散っているということになり、基本的に手術は出来ません。がんは局所ではなく全身の病気なのです。
がん細胞は抗がん剤を使っても生き残る
標準治療ではこの全身に散らばったがん細胞を叩くための化学療法として、主に抗がん剤が用いられます。しかし、抗がん剤とて全てのがん細胞を排除出来るわけではありません。がん細胞が正常細胞よりも盛んに分裂することに着目し、分裂中のがん細胞の遺伝子をばらばらにしてしまいます。分裂中でなければがん細胞は生き残ってしまうので、抗がん剤は何回か続けて行う必要がありますが、そのうちにがん細胞に薬剤耐性が出来て効果がなくなってくるのです。そうなると抗がん剤を変更する必要があるのですが、いずれにしても全てのがん細胞を排除出来るわけではないのです。がん治療の最後の詰めは免疫
手術、放射線、抗がん剤は標準治療の柱として三大療法と呼ばれます。がんを叩く上では強力です。しかし、これらの治療は大きな腫瘍になって、どんどん増えているがん細胞の勢いを止める治療なのです。数を大きく減らしたところで、患者自身の免疫力ががん細胞の残党を抑え込めるかどうかが、がん治療のゴールなのです。健康な方でも日々数千の単位でがん細胞が生まれていますが、免疫が速やかに排除しているから、目に見えるような腫瘍にならず、がんという病気には至らないのです。細胞単位の病気だから、全身の病気だからこそがん治療の鍵は免疫なのです。
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