がんは遺伝子の病気です。遺伝子の異常によって起こるのであれば、それを補ったり修正したりすることで治そうというのが、がん遺伝子治療です。岡山大学が2000年に発見したがん抑制遺伝子「REIC」を使った治療薬は、前立腺がんや悪性中皮腫で既に治験が行われていますが、5月から肝がんに対しても治験が開始されることになりました。
がん患者は、がん抑制遺伝子が機能していない
がん患者は、がん細胞の増殖を抑制させる遺伝子が、適切に機能していないか、がん細胞を発生させる遺伝子が、過剰に働いています。これに対して機能していない遺伝子を投与したり、患者から採取した遺伝子を、正常に機能するようにして戻したりするのが遺伝子治療です。岡山大学では2000年に発見したがん抑制遺伝子「REIC」を使ったがん治療薬について、5月から肝がんの治験を開始することになりました。
肝機能低下で従来の治療が出来ない肝がん患者に
REICはがん細胞のみを自然死に導くと同時に、腫瘍免疫を向上させる働きがあります。このREICをがん細胞へ送り届ける手段としてアデノウイルスと組み合わせた薬は、既に前立腺がんや悪性中皮腫の患者に対して治験が行われています。今回の肝がんの治験では肝細胞がんと膵がんから転移した患者を対象に、安全性や効果を検証します。肝がんでは毎年、3万人近くの方が亡くなっています。進行すると肝機能が低下し、抗がん剤や放射線が使えなくなる場合もあり、新しい選択肢として期待が寄せられています。
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