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2016-12-08

がんは早めに治すのか、悪化しない確率に賭けて放置するのか

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がんは切るな、治すななどという雑誌の記事が目につきます。進行がんの治療としては限界のあるにもかかわらず、標準治療一辺倒の医療への警鐘としては意味がありますが、がん治療全てを否定しているような印象を与えています。

良性と信じて放置するか諦めるか
昨今、雑誌等でのがん治療そのものに対して批判的な報道が目につきます。標準治療の柱となる三大療法──手術、放射線、抗がん剤はかえって症状を悪化させたり、腫瘍を縮小させるなどの効果はあっても、重い副作用で余命を縮めたり、予後を苦しくしたりするという内容です。確かに標準治療は余命を数か月の単位で延ばすだけで、完治を目指してはいません。それならば放置しておいても悪化しない良性の場合もあるのだから、刺激して悪化するより放置しておいたほうがいいという医師すらいます。悪性であれば治療しても無駄なのだから、その時は諦めなさいということです。

がん治療は早期が鉄則
がんはとても厄介な存在です。悪性であれば日々、進行します。また、一旦落ち着いていても、何かの拍子に暴れ出すことはあります。手術や放射線、抗がん剤などの治療がそのきっかけとなることはよくあります。例えば手術で患部を切除すると、体はそれを修復しようと、細胞分裂・増殖を促す物質を分泌します。これががん細胞に作用すれば、同様のことが起こるわけです。しかし、がんの治療は早期が鉄則です。標準治療はがんを直接攻撃するという意味では、最も効果的な治療になります。がん細胞を刺激する恐れがあるなら、その後に再発や転移の対策として補助的な治療を行えばよいのです。そして、標準治療では回復が難しかった症状が、劇的に改善した治療はたくさんあります。

がん治療全てに否定的になる恐れ
雑誌等の商業メディアは雑誌を買わせることを目的に、派手な見出しをつけます。しかし、その見出しに影響され、がん治療の全てに否定的な考えを持ってしまうのは問題です。がんになったら積極的に治すのか、それとも悪化しない確率に賭けて放置するのか……それは患者自身の選択です。しかし、治療そのものを否定するような擦り込みは何とかならないものでしょうか。

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