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2016-10-21

オプジーボが効く確率は3割以下

medical hand with glove heart inside capsule pill as concept

「夢の薬」とまでいわれるオプジーボですが、どんながんにでも効くわけではありません。健康保険が適用される非小細胞肺がんでも、理論上は3割以下です。

元首相もオプジーボで劇的に回復か
肺がんに健康保険が適用されるようになり、大きな話題となっている免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」。かつて首相を経験した政界の重鎮も、このオプジーボで回復したといわれ、劇的な奏効例も少なくないようです。このオプジーボは従来の抗がん剤とは全く異なる仕組みで作用します。がん患者の体内ではがん細胞の妨害によって免疫が十分に機能していません。この状態を打破することで、免疫が十分に働き、がん細胞を攻撃出来るようにします。そのため、正常細胞を巻き添えにしてしまう抗がん剤のように、重い副作用がないこともメリットのひとつです。

オプジーボで免疫細胞への邪魔をなくす
もう少し詳しく説明すると、免疫細胞の表面にはPD-1という蛋白質があり、がん細胞は「これと結合するPD-L1という蛋白質を出すことが出来ます。結合してしまうと免疫細胞はそれ以上、攻撃が出来なくなるというわけです。オプジーボは別の物質をPD-L1とくっつけてしまうことで、免疫細胞の邪魔をさせないようにします。問題は、全てのがん細胞がPD-L1を発現しているわけではないことです。当初、オプジーボは患者のあまり多くない悪性黒色腫の薬として承認、健康保険適用されましたが、最も患者の多い肺がんに対しても保険適用となったことで話題になりました。厳密にいうと、対象となるのは非小細胞肺がんなのですが、そのうち、PD-L1を発現するがん細胞が、腫瘍の半分以上を占めている割合は3割程度といわれてます。劇的に効いたケースはあるにしても、理論上、効く確率は約3割以下だということです。

がん細胞だけを特定出来れば、がんは克服出来る
がん治療の開発の歴史はいかにがん細胞だけを攻撃するか、そのためにいかにがん細胞を特定するかの歴史といっても差し支えありません。今後、PD-L1と同様の標的となる物質の解明が進めば、さらに体に負担の少ない治療が開発されるでしょう。とはいえ、がん細胞はそもそも自分の体内で発生しています。異物といて認識する目印を見つけるのは、大変困難なのです。また、ひとつの目印でがん細胞を特定したとしても、がん細胞はどんどん変異していきます。いかなるがん細胞でも見逃さず攻撃出来るのは、同じく体内に存在するNK細胞、それも活性の高いNK細胞くらいです。免疫療法は三大療法に続く第四の治療として期待されていますが、その鍵となるのは、やはりNK細胞なのでしょう。

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