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2016-08-02

がん患者に求められる情報リテラシー

私たちは報道など外部からの情報に左右されがちです。がん治療においては本当に効果のある治療は何なのか、しっかりと見極めて選択していくことが求められます。

Media Multimedia Social Media Online Concept
小池百合子氏の巧みなメディア戦略
東京都知事選挙は小池百合子氏の圧勝という結果でした。所属する自民党からの推薦を得られず、無所属、そして保守分裂という不利な状況の中、巧みなメディア戦略も奏効し、接戦との予想を覆す結果となったようです。「崖から飛び降りる覚悟」と見得を切っての出馬表明、参院選の投票締切に合わせての党への推薦願撤回と進退伺の提出。東京五輪の開催を控え、様々な問題が噴出し、都民の不満は募っていますが、体制に屈せず立ち向かっていく女性候補という構図が、多くの有権者の支持を得たのでしょう。政策や能力もさることながらこうした演出の上手なところはメディア出身の政治家ならではでしょう。

注目を集めていたオプジーボだが
さて、このところ、がん治療において大きな話題といえオブジーボでしょう。昨年の暮れ、皮膚がんに加えて肺がんへの保険適用が認められた当時は、欧米の後塵を拝していた日本の医薬品メーカーの新薬であり、従来の抗がん剤とは全く異なる免疫に働きかける新薬ということで、メディアは絶賛していました。ところが、ここのところの報道では薬価が飛び抜けて高いとか、免疫細胞療法と併用していた患者が死亡したとか、ネガティブな話題が続いています。

オブジーボとて夢の薬ではない
オブジーボとて夢の薬ではありません。米国での臨床試験では皮膚がんや腎がんの3割程度には腫瘍縮小効果が確認されましたが、どんな肺がんにでも奏効するというわけではありません。また、免疫に働きかける薬にはつきものの副作用・自己免疫疾患が、3割程度の患者には見られるという報告もあります。最先端で開発されている新薬ですが、治験の後、保険適用になったとしても、まだまだ患者の体に何が起こるかはわからない部分があります。それを考えると、オブジーボをあそこまで絶賛した風潮自体が異常であったかもしれません。また、自由診療である免疫細胞療法との併用をことさらに強調することで、そこに原因を押し付けているような印象すら与えかねません。

1970年代から取り組まれてきた免疫細胞療法
がん治療においては人為的な手段──手術や放射線、抗がん剤でがんを制圧することは出来ないというのは、何十年も前からの常識です。また、それを打開する唯一の手段が自らの免疫であり、それをいかに機能させるかについては、多くの研究が重ねられています。何もオブジーボだけが画期的なわけではありません。免疫細胞療法については米国ではLAK療法が1970年代から最先端の医療として取り組まれ、現在、我が国で行われているANK療法は、それをさらに進化させ実用化させた結果です。

関連記事1:免疫療法の真打「ANK療法」
関連記事2:標準治療とANK療法の併用

Men using a laptop and smartphone情報が多くなったからこそ惑わされないように
標準治療の限界が知られるようになり、多くのがん患者は積極的に情報を集め、自らの治療を考えるようになりました。インターネットの普及で私たちはPCひとつあれば、ネットワークにアクセスし、膨大な情報にアクセス出来ます。しかしながら、その情報の海は玉石混交です。「免疫」という言葉はいささか安易に使われている傾向はあります。また、仰々しく宣伝している免疫を利用した治療には、およそ効果が期待出来ない治療が多いことも否定出来ません。自らの将来、健康が懸かっていることだからこそ、治療を考える際には、一時的な報道などで惑わされないようにすることが大切です。

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