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2023-07-03

がんの放射性医薬品の制度を高める技術を、理化学研究所が開発


体内に放射性物質を投与して、がんを叩く放射性医薬品の課題は、どうやって放射性物質を的確にがん細胞に送り届けるかということです。

がんを効率よく叩き、副作用を回避

放射性医薬品は、体内に放射性物質を投与し、その放射線によってがんを叩きます。しかし、放射性物質を的確にがん細胞に送り届けないと、効率よくがんを叩けないばかりか、正常な細胞に影響が及ぶという課題があります。理化学研究所などのグループは、がん細胞で特異的かつ大量に産生されるアクロレインという分子との化学反応を利用して、放射線源となるアスタチン-211で標識した治療分子を、がん細胞のみに効率的に結合させ、体内での放射線照射でがんを治療する技術を開発しました。今回、このグループは、がん細胞内でアジド基を持つフェニルアジドという化合物とアクロレインが、選択的に起こす環化付加から始まるカスケード反応(ひとつの反応が呼び水になり、幾つもの反応が連鎖すること)を利用した治療分子(ADIPA)を設計しました。ADIPAをヒト肺がん細胞移植マウスに注射投与したところ、ADIPAはがん組織のみに結合し、がんを放射線治療することに成功しました。体重減少や炎症などの副作用は全く見られず、生存率も高いことが明らかになりました。

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