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2023-04-17

ピロリ菌に感染すると、がん患者の生存率が上がる


胃がんの発症原因とされるピロリ菌が、がん患者の死亡リスクを低下させるという興味深い研究結果が発表されました。

ピロリ菌感染が免疫を引き上げる

ピロリ菌の感染が、胃がんの発症原因になることは、様々な研究の結果でで知られていますが、ピロリ菌陽性の進行胃がんの患者の生存率は、陰性の患者よりも高くなっていることが、岩手医科大学などの研究で明らかになっています。2008年6月~2010年5月に名古屋市在住で名古屋大学医学部保健学科で受診した35~69歳の4,982人を対象に、ピロリ菌に対する抗体の有無が、胃がん、子宮がん、肺がん、前立腺がん、結腸がん、乳がんなどの発生率と関連するかどうか、またピロリ菌の感染ががん死亡に及ぼす影響はあるかどうかについて調査を行いました。観察期間中、がんが234例、全死亡が88例。ピロリ菌陽性は1,825人、陰性は3,156人でした。全がん発生率は、ピロリ菌陽性のほうが陰性より有意に高く、全がん死亡率では差がありませんでした。この結果からはピロリ菌に感染していると、がんによる死亡リスクが低下することがわかります。原因としてはピロリ菌の感染が潜在的な抗腫瘍免疫を引き上げるのではないかと考えられています。

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