2022-12-21
T細胞に遺伝子編集を行う免疫治療の一定の成果
免疫細胞療法がまた一歩前進しました。
免疫と遺伝子の両面からがんにアプローチ
がん細胞を異物として攻撃する免疫細胞を強化する治療に、注視すべき出来事がありました。米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究で患者のT細胞にクリスパーキャス9と呼ばれる技術で編集を行い、がん細胞に対する認識力と攻撃性を高めた上で戻すという治療が、一定の成果を上げました。乳がんや大腸がんなど16人の患者のがん細胞に対して個々に遺伝子の変異を解析し、それを認識し、攻撃に誘導するよう、T細胞の遺伝子を編集したのです。遺伝子と免疫、がん制圧のキーポイントとなるふたつの要素を組み合わせた点で画期的といえます。また、がん細胞を攻撃させるために、T細胞の遺伝子を改変するというと、CAR-Tが既に実用化されていますが、現状では特定の抗原を認識する段階に留まっており、個々の患者にオーダーメイドで設計されているわけではありません。臨床実験では16人の患者のうちの5人で1か月後もがんが大きくなっておらず、2人にサイトカイン放出症候群、脳炎という症状が出ましたが、いずれも迅速に回復しています。
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