2021-12-06
免疫チェックポイント阻害剤と抗がん剤は併用すべきなのか?
免疫を回復させるオプジーボやキイトルーダは、免疫を低下させる抗がん剤と併用されることがあります。
オプジーボやキイトルーダの適応が広がる
オプジーボやキイトルーダといった免疫チェックポイント阻害剤は様々ながんに適応を拡大させています。抗がん剤と作用機序が根本から異なるということで、以前は抗がん剤が終了した後に使われましたが、このところ、オプジーボが胃がんのファーストライン、キイトルーダが食道がんのファーストラインと最初から使われるよう適応が拡大されています。とはいえ、いずれも既存の抗がん剤との併用となっています。従来の抗がん剤は、分裂中の細胞のDNAを傷害するため、がん細胞と同様に盛んに分裂する免疫細胞にも影響が及びます。そして、免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞が免疫細胞の働きを抑制している状態を解除し、患者自身の免疫でがん細胞を攻撃するという仕組みです。抗がん剤と免疫チェックポイント阻害剤は、いずれも最終的にはがん細胞を減らすことが目的ですが、その要となる免疫細胞に対しては正反対の影響があるということです。保険適用のために治験を行う際は、あくまでの従前の治療(抗がん剤単独)と免疫チェックポイント阻害剤との併用になるため、仕組み上、致し方ないことなのかもしれませんが、がん治療が免疫重視に舵を切りつつある中、この矛盾について考えていくべきでしょう。
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