2021-10-06
免疫チェックポイント阻害剤「イミフィンジ」と分子標的薬の併用が非小細胞肺がんに有望
免疫チェックポイント阻害剤と分子標的薬の併用は理にかなっています。
分子標的薬と免疫チェックポイント阻害剤は新薬の主流
がん細胞は、免疫細胞の攻撃を免れて生き延びるため、様々な手段で免疫を抑制します。例えばT細胞の表面には何種類もの免疫チェックポイントが存在し、そこに働きかけることで、異物への攻撃を低下させます。免疫チェックポイント阻害剤は、こうしたがん細胞による免疫抑制を解除する働きがあり、PD-1に作用するオプジーボやキイトルーダをはじめ、様々な製品が開発されています。その中のひとつであるイミフィンジは、PD-1に働きかけるがん細胞側のPD-L1に結合して、免疫抑制を解除します。既に国内では非小細胞肺がんなどに保険適用となっていますが、国際共同臨床第2相治験では抗CD 73モノクローナル抗体、抗NKG2Aモノクローナル抗体の2種類の分子標的薬との併用が、単独での使用に比べて、客観的奏効率を改善させることが確認されています。がんの新薬の主流は、がん細胞に特異的に発現する蛋白質への標的治療であり、昨今ではそれに免疫の回復という視点が加わりました。そもそも分子標的薬はがん細胞を直接傷害するわけではなく、がん細胞の異常な増殖に関係する蛋白質の働きを抑制し、患者自身の免疫でがんを抑え込むという考えで開発されています。免疫抑制を解除する免疫チェックポイント阻害剤との組み合わせには相乗効果が出来るので、併用はどんどん進んでいくでしょう。
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