2021-09-10
がん細胞を低酸素の環境に適合させる酵素が明らかに
がん細胞は酸素を使わずにエネルギーを作り出す
がん細胞は、ミトコンドリアによって酸素呼吸でエネルギーを作り出している正常細胞とは異なり、血行が滞って、栄養や酸素が不足している環境に適合出来る原始的な解糖系でエネルギーを作り出しています。この状況が進行すると、がんは一層、悪性化していくのですが、低酸素の環境でもがん細胞が活発に分裂と増殖を繰り返す上で、CAIXという酵素が作用していることが、米国のブリティッシュ・コロンビア大学の研究で明らかになりました。また、この酵素が他の部位への転移に関係していることや、この酵素を阻害するSLC-0111という化合物の特定も出来ています。問題は、この化合物が正常細胞も攻撃し、副作用を招くことですが、膵臓がんや肺がん、乳がんなど死亡者の多いがんに対する画期的な治療を開発する端緒になるのではないかと期待されています。
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