がん細胞の標的物質を阻害する新たな化合物を発見

がん治療の永遠のテーマは、がん細胞のみを減らし、正常細胞には影響を与えないことです。

がん細胞の増殖に関係するmTORC1が標的

がんの新薬の主流となった分子標的薬は、がん細胞に多く発現し、その増殖に関係している物質を特定し、その働きを阻害するという仕組みです。特定した物質だけに作用すれば、正常細胞への影響はないので、副作用の問題もないのですが、それを見つけ出すのも、大きな課題です。多くのがん細胞ではmTORC1という蛋白質が異常に活性化し、増殖に影響していることがわかっていましたが、この蛋白質の働きだけを阻害する手段は見つかっていませんでした。この程、岡山大学と理化学研究所のグループは、コンピュータによるシミュレーションなどで約70万種類の化合物の中からmTORC1の働きだけを阻害するWRX606を見つけ出しました。また、WRX606が既存のmTOR阻害剤よりも優れたがん抑制効果があり、正常細胞に影響を与えないことも明らかにしています。

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