2021-01-21
鳥取大学が新たな腫瘍溶解ウイルスの開発に成功
がん細胞に選択的に感染し、内部から破壊するのが腫瘍溶解ウイルスです。
米国では腫瘍溶解ウイルスは承認済み
腫瘍溶解ウイルスは、ヒトに感染するウイルスの遺伝子を改変し、がん細胞に選択的に感染することで、内側から破壊します。国内外で様々なメーカーが開発に参入し、米国では既に承認されている例があります。鳥取大学のグループは、新たな作用機序を持つ腫瘍溶解ウイルス「FUVAC」の開発に成功したことを発表しました。
細胞融合しながら増殖する腫瘍溶解性ウイルス
まずワクチニアウイルスの遺伝子を改変し、細胞の増殖が過剰に促進されるがん細胞特有の性質を持つ細胞でのみ、複製が可能になるウイルスを開発したところ、細胞融合を行いながら増殖するウイルスを発見し、それを分離することに成功しました。さらに、このウイルスの全ゲノムシークエンス解析によりK2L遺伝子がナンセンス変異を起こしていることを明らかにしたのです。
細胞融合で腫瘍溶解がより広範囲に
FUVACはマウスを使った実験において、従来の腫瘍溶解ウイルスよりも優れた抗腫瘍効果が確認出来ました。特にウイルスを直接投与した腫瘍だけでなく、遠隔の転移層のような腫瘍にも効果が及んでします。これは、細胞癒合によって局所の腫瘍溶解が広範囲に進み、それによって全身の免疫が刺激されたと考えられます。この技術が実用化されれば、全身に細胞の単位で散らばったがんや転移したがんにも、より効果的な腫瘍溶解ウイルスの製造が実現出来るでしょう。
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